現地を走るドライバーたちの体験談やSNS上の投稿を検証すると、単なる金銭面だけでなく、料金所周辺における「ヒヤリハット」の生々しい実態が浮き彫りになります。
「前を走っていた都会ナンバーの高級ミニバンが、料金所手前でETCレーンを探してウロウロと急減速。後続の私の車もスタッドレスを履いていたとはいえ、圧雪路面でABSが作動して本当に肝を冷やした」(群馬県内・40代男性スキーヤー)
「宿もガソリンもスマホ決済で済ませていたため財布を開く習慣がなく、料金所のおじさんに『1,070円です』と言われて血の気が引いた。車内の灰皿や小銭入れを必死にかき集め、10円玉と50円玉を混ぜてギリギリ足りたが、後ろに何台も列ができて猛烈に恥ずかしかった」(東京都・20代女性観光客)
現場取材で見えてくるのは、「冬用タイヤによる制動距離の伸長」と「キャッシュレス慣れによる準備不足」が料金所直前で危険な形で交差しているという現実です。万座ハイウェイの起点となる「嬬恋三原料金所」は、国道144号・国道406号が分岐する嬬恋村三原の平坦部近くに位置しますが、そこから一歩足を踏み入れれば本格的な急勾配が始まります。登坂時はもちろん、万座温泉から下山してきた車両にとっては長い下り坂の終着点に料金所が現れるため、ブレーキペダルの踏み込みが甘いと凍結路面でスリップする危険性すらあります。
料金所スタッフへの聞き取りでも、「シーズン中は週末ごとに数件、現金を全く持たずに料金所に入ってしまうドライバーがおり、車内捜索で後続車をお待たせする場面がある」と証言されています。山岳道路の料金所は、単なる決済ポイントではなく「冬山運転への覚悟を切り替える関所」として機能しているのが現場のリアルです。