あれほど全国で一斉に行われていた乾布摩擦が、なぜ教育現場からほぼ姿を消してしまったのでしょうか。その背景には、医療知識のアップデートと教育環境の急速な変化がありました。
最大の要因は、皮膚トラブルと肌への影響に対する認識の変化です。アトピー性皮膚炎や乾燥肌、アレルギー疾患を抱える子どもが増加するなかで、硬いタオルで皮膚を擦る行為がバリア機能を破壊し、症状を悪化させるリスクが皮膚科医から相次いで指摘されました。
さらに、保育園や小学校の現在の環境において、児童・生徒が人前で上半身裸になることに対する防犯面・プライバシー保護の意識が高まったことも決定打となりました。個々の体質や発育差への配慮が不可欠となった結果、集団で一律に実施する乾布摩擦は教育カリキュラムから自然と外れていった経緯があります。