小児科の臨床現場では、保護者から「解熱剤は子供に使わない方がいいのか」という相談が絶えません。乳幼児や小児は体温調節機能が未発達なため、風邪の初期でも容易に39度以上の高熱を出します。
かつては「熱を急激に下げると熱性けいれんを誘発するのではないか」「解熱剤を使っても熱性けいれんの再発予防にはならない」という議論が交わされてきました。近年の小児感染症ガイドラインでは、熱性けいれん予防目的での解熱剤投与は推奨されないものの、「苦痛を取り除き、水分補給を行わせて脱水を予防する目的」でのアセトアミノフェンの適正使用は明確に肯定されています。
子供に対して絶対に避けるべきなのは、大人用のロキソニンやイブプロフェンを割って飲ませる行為や、アスピリン系薬剤の投与です。小児のライ症候群発症リスクを避けるため、小児用アセトアミノフェン製剤を体重換算(1回あたり体重1kgにつき10〜15mg)で正しく計量して使用することが鉄則となります。また、高齢者の場合は発熱反応そのものが鈍く、37度台後半であっても重篤な肺炎や尿路感染症が進行しているケースがあるため、体温の数字に惑わされず意識レベルや活気の低下を観察しなければなりません。