インターネット上の住宅掲示板などでは、「情報配線盤の中に強力なハイパワーWi-Fiルーターを入れておけば大丈夫」という誤った情報が散見されます。しかし、建材の遮蔽性能と電波の物理的挙動を考慮すると、これは完全に時代遅れの認識です。
誤解1:ハイパワールーターなら床暖房の床も壁も突き抜ける?
日本の電波法では、家庭用Wi-Fiルーターの送信出力(空中線電力)は一律上限(10mW/MHz以下)が定められています。どれほど高額な「最上位ゲーミングルーター」を購入しても、電波の出力そのものが何倍にも強力になっているわけではありません。アンテナの指向性やビームフォーミング技術でカバーしているに過ぎず、金属遮熱層を伴う床面を突破することは物理的に不可能です。
誤解2:標準のLANケーブル(Cat5e)で将来も十分通用する?
一条工務店の標準LAN配線はCat5e(最大1Gbps)が基本仕様となっているケースが多く見られます。しかし、光回線サービスはすでに「5ギガ・10ギガ」プランが急速に普及しています。Cat5eケーブルでは、10Gbpsの超高速回線を契約しても壁内配線がボトルネックとなり、最大でも1Gbps未満に頭打ちされてしまいます。新築時のオプションで「Cat6A(最大10Gbps対応)」へアップグレードする、または空配管を通しておくことが、10年後・20年後を見据越した必須の自衛策です。
【プロの結論】おすすめできる設計・避けるべき設計の明確な判断基準
住宅設計および家庭内ネットワークの観点から導き出される、情報ボックスの採用基準は以下の通りです。
- おすすめできる設計(成功パターン):
- 情報ボックス内には「ONU+小型スイッチングハブ」のみを設置し、Wi-Fi親機はリビングやホールのオープンな場所に有線接続する。
- 1階と2階の要所にCat6AのLANコンセント(またはCD管)をあらかじめ敷設し、有線接続型のメッシュWi-Fiを導入する。
- 情報ボックスの設置場所を、日常的な点検が容易で湿気やホコリが溜まりにくい「2階廊下収納」や「ファミリークローゼットの出入り口付近」にする。
- 避けるべき設計(失敗パターン):
- 情報ボックス内に大型Wi-Fi親機を押し込み、1台の無線電波だけで家全体の通信を賄おうとする。
- 主寝室の枕元クローゼット内に設置し、夜間の動作LED点滅やファンの微小ノイズに悩まされる。
- 配管やLANケーブルを追加せず、標準仕様のまま壁内配線を確定させてしまう。