ヤシオリ作戦の成功によって東京駅中央口前で直立したまま凍結されたゴジラ。そのラストカットで、カメラは異様な隆起を見せる尻尾の先端部へとズームします。そこには、肉塊を突き破るようにして上半身を乗り出し、苦悶の表情を浮かべるような「人型の異形」が無数に連なっていました。
劇中の巨災対(巨大不明生物特命調査推進チーム)の分析フェーズにおいて、解析班の間野祐介らは「単為生殖による自己増殖の可能性」「個体内に多量の情報を内包し、退化や進化を自在に繰り返す能力」について言及しています。第4形態に至るまでのゴジラは、圧倒的な質量と熱エネルギーを放つ単一の「巨獣」でした。しかし、米軍の大型貫通爆弾(MOP II)による空爆を受け、さらには矢口プランによる重機や列車を用いた組織的・波状攻撃に直面したことで、ゴジラの生体演算システムは致命的な学習を行います。
「巨大な単一の肉体は、集中砲火の標的になりやすい」――この生物学的弱点を克服するためにゴジラが導き出した進化の回答こそが、群体化と小型化による個体数の爆発的増加でした。地球上で最も繁栄し、知恵を集束させて自らを追い詰めてきた「人間」という生物の形態を模倣・サンプリングし、無数の自律型個体として分裂・拡散しようとした結果が、あの尻尾から生え出た人型生物の正体です。