顎で息をしている状態を発見した際、取るべき行動は「予期された終末期(DNAR・看取り同意済み)か、そうでない突発事態か」によって180度分かれます。
1. 突然の急変・予期せぬ意識障害の場合:迷わず119番通報
普段元気だった人や、治療可能な病気で療養中の人が突然倒れ、顎でパクパクと息をしている場合は、「死戦期呼吸(心停止直前の呼吸様運動)」や重篤な気道閉塞、急性脳卒中の可能性が極めて高い状態です。
この場合の下顎呼吸は「通常の呼吸」ではなく心肺停止と同等とみなします。即座に119番通報を行い、救急隊が到着するまで直ちに胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始してください。
2. 在宅看取り・ホスピス療養中の場合:穏やかなケアと見守り
あらかじめ医師と終末期の看取りについて合意がなされている場合は、救急車を呼んではいけません。救急車を呼ぶと、本人の意思に反した蘇生措置(気管挿管や電気ショック)が行われ、穏やかな看取りが妨げられる可能性があるためです。
担当の訪問診療医や訪問看護ステーションの緊急連絡先に電話を入れ、指示を仰ぎながら以下のケアを行います。
- 体位の調整(側臥位):横向き(側臥位)に寝かせ、喉の奥に唾液が溜まりにくくすることで喘鳴(ゴロゴロ音)を和らげます。
- 口腔ケアと保湿:口を開け放しているため口内が乾燥します。湿らせたスポンジブラシ等で唇や口腔内を優しく潤します。
- 声をかけ、肌に触れる:人間の五感の中で、「聴覚」は息を引き取る最期の瞬間まで機能していると言われています。耳元でこれまでの感謝や温かい言葉をかけ、手を握ってあげることが最大の緩和ケアになります。
【要注意】犬や猫が「顎で息をする(開口呼吸)」危険性
人間だけでなく、ペットの犬や猫が顎を突き出して口を開けて呼吸している場合も極めて危険です。特に猫の開口呼吸(口を開けてハアハア・パクパク息をする状態)は数時間以内に命を落とす危険がある超緊急事態です。肺水腫、胸水、熱中症、重度の心不全が疑われるため、夜間であっても迷わず救急動物病院へ搬送する必要があります。