過酷を極めた闘病生活を乗り越えられた背景には、医学的な治療の成功に加え、強固な家族のサポートと心理的レジリエンス(精神的回復力)の覚醒が存在します。
ギラン・バレー症候群の治療では、免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)や血漿浄化療法といった急性期治療と並行して、地道で苦痛を伴う機能回復リハビリが必須です。芳根京子を精神的に支え続けたのは、両親と兄の存在でした。病に怯える彼女を決して孤立させず、常に前向きな言葉をかけ、リハビリの歩行訓練を家族全員で支えたといいます。
心理学では、大きな逆境や外傷的出来事を乗り越えた人間が飛躍的な精神的成長を遂げる現象を「PTG(外傷後成長)」と呼びます。芳根自身も後の取材で、「病気を経験したことで、当たり前に息をして歩けることがどれほど奇跡かを知った。やりたいと思ったことは全部挑戦しなければ後悔する」と語っており、死生観すら揺るがす過酷な経験が、恐怖に怯える心を「後悔なき前進」へと根本から変革させたのです。