インターネット上の質問サイトやSNSコミュニティには、大人の独学ピアノ層から切実な告白が日々寄せられています。
「バイエル後半やブルグミュラーに入った途端、左手のヘ音記号が読めずに進度が一気にゼロになった。音符の下に鉛筆で全部『ドレミ』とカナを振ってしまい、楽譜ではなく文字を追うだけの作業になって虚しい」(30代男性・ITエンジニア)
「子どもの頃にエレクトーンを習っていたので右手は即座に動く。しかし、左手になった瞬間に『あれ、この線の音は何だっけ?』と1音ずつ下から数え上げてしまい、両手で合わせると頭から煙が出そうになる」(40代女性・会社員)
都内の大手音楽教室で20年以上の指導歴を持つベテラン講師は、この現象について次のように語っています。
「大人の生徒さんは非常に真面目なので、『完璧に1音ずつ理解してから弾こう』と逐次処理に頼りがちです。しかし、これが逆にフリーズを招きます。文字を書き込むのは最初の1〜2回だけにして、すぐに消させるようにしています。音符を文字ではなく、『線に乗っているか、間に入っているか』という視覚パズルとして認識させることが最も効果的です」
文字情報に頼りすぎると脳の言語野ばかりが疲弊し、演奏に必要な運動野や空間認知野の連動が阻害されます。この壁を破る実践ツールとして昔から活用されているのが、ヘ音記号 語呂合わせ 覚え方です。
- 【線の音(下から順に):ソ・シ・レ・ファ・ラ】
語呂合わせ例:「素(ソ)志(シ)貫徹、レ(レ)モンをフ(ファ)ラ(ラ)ッシュ」 / 「ソ(ソ)ラ(シ)シ(レ)てファ(ファ)イトだラ(ラ)」 - 【間の音(下から順に):ラ・ド・ミ・ソ】
語呂合わせ例:「ラ(ラ)ーメン、ド(ド)ーナツ、ミ(ミ)ルクにソ(ソ)ーダ」
語呂合わせは、音の位置関係が曖昧になった際の「非常用検索エンジン」として極めて有用です。ただし、これだけに依存するのではなく、次のステップで述べる体感トレーニングとセットで運用することが必須となります。