日本語文法において、「乗れる」は五段活用動詞「乗る(のる)」の未然形に可能の助動詞がついた形ではなく、動詞そのものが下一段活用化した「可能動詞(かのうどうし)」に分類されます。
日本語教育の指導データ(動詞グループ分類)によれば、動詞は以下の3グループに大別されます。
- グループ1(五段活用動詞):「行く→行ける」「書く→書ける」「乗る→乗れる」
- グループ2(上一段・下一段動詞):「食べる→食べられる」「見る→見られる」
- グループ3(不規則動詞):「来る→来られる(こられる)」「する→できる」
「乗る」は子音「r」で終わるグループ1動詞であるため、語尾のエ段変化によって「乗れる」という可能動詞が成立します。一方、グループ2の「食べられる」を「たべれる」と縮めるいわゆる「ら抜き言葉」は文法的な破格とみなされますが、「乗れる」は正規の文法規則に則った正統な可能動詞であり、ら抜き言葉ではありません。
ここで検索クエリやネット辞書で頻出するもう一つのキーワードが「のされる」です。「のれる」と形態が酷似しているため混同されやすい言葉ですが、語源はまったく異なります。Weblio辞書の解説にもある通り、「のされる」はサ行五段活用動詞「伸す(のす=平らに伸ばす、相手を打ち倒す)」の未然形「のさ」に、受身・自発の助動詞「れる」が付いた表現です。
「ボクシングで相手にのされる」「強烈な一撃でのされた」といった用法が示すように、「のれる(可能動詞)」と「のされる(受動表現)」は意味論的にも文法系統的にも完全に別物です。音声認識入力などで「乗れる」が誤って「のされる」と変換されるケースも報告されており、文章作成ツールを扱う上での警戒ポイントといえます。