ネット上のQ&AサイトやSNSには数多くの裏技が飛び交っていますが、現場の職人が「絶対にやめてほしい」と警鐘を鳴らすNG対処法が定着してしまっている実態があります。
最も危険な誤解が、「チャックの滑りを良くするためにサラダ油やハンドクリームを塗る」という行為です。油分を塗布した直後は一瞬滑りが良くなったように感じられますが、動植物性の油脂は空気中の酸素で急速に酸化して粘着質に変質します。結果として周囲のホコリやチリを吸着して黒ずんだヘドロ状の汚れとなり、エレメントの隙間に詰まって完全に動作不能に陥るばかりか、大切な衣類の生地に油ジミを作ってしまいます。
滑りを改善させたい場合の正しい現場処置は、「Bや2Bなど濃い鉛筆の芯(黒鉛)をエレメントの表面に擦り付ける」か、手芸店やホームセンターで市販されている「シリコン系潤滑スプレー(無溶剤タイプ)」、または「固形石鹸・ろうそくの蝋」を薄く塗り込み、余分な粉をブラシで払う方法です。黒鉛は優れた固体潤滑剤として機能し、金属や樹脂を一切腐食させません。