国内最大規模の公募コンクールとして知られる伊藤園新俳句大賞では、毎年全国から約200万句近い応募が寄せられ、その中から文部科学大臣賞をはじめとする栄えある入賞作が選出されています。SNS上でも「中学の夏休みの宿題でなんとなく提出した句が、まさかお〜いお茶のペットボトルに掲載された」「自分の名前がラベルに印字されて家族で買い占めた」といった生の声が定期的に話題となります。
選考委員を務める著名な歌人や俳人たちの講評、および評価が高い中学生俳句の共通点と理由を丹念に紐解くと、選ばれる句には明確な法則が存在することが判明します。
江戸時代の俳諧師・小林一茶はかつて「一人で遠慮なく大の字に寝られて涼しくて良いが、誰もいないのが寂しい」という独身生活の日常風景を詠み、多くの共感を集めました。現代の中学生における伊藤園お〜いお茶新俳句大賞入賞作品も、本質はこの一茶の眼差しと全く同じです。
現場の実例として非常に示唆に富むのが、「ひまわりに平均点をつけてみる」という作品です。ひまわりという夏の王道植物をただ「背が高い」「黄色く美しい」と描写するのではなく、学校生活で常に意識せざるを得ない「平均点」という中学生特有のリアリズムを重ね合わせています。作者自身の劣等感や自己評価の揺らぎが、堂々と咲くひまわりの姿を通して鮮やかに照射されているのです。
大人受けを狙ったお行儀の良い優等生的な表現ではなく、「中学生という今しか見えない独自の解像度」で世界を切り取っているかどうかが、審査員の心を動かす決定打となっています。