両者の最も顕著な相違は、頭部に備わったシンボリックな武器の「正体」にある。クワガタムシ科(Lucanidae)の誇る勇壮な大顎は、口器(口の一部)が戦闘用に巨大化したものだ。左右に大きく開き、相手を挟み込んで締め上げる、あるいは樹皮から引き剥がすための強靭なテコとして機能する。
対するカブトムシ亜科(Dynastinae)の象徴である角は、頭盾や前胸背板のクチクラが隆起して伸びた外骨格そのものである。上下にスイングし、相手の下へ潜り込ませて一気に宙へ放り投げる。左右の挟撃と上下の跳ね上げ。自然科学・昆虫学の観点から見ても、同じ樹液の縄張りを争うライバルでありながら、物理的なアプローチが根本から異なっている点は極めて興味深い。
国立科学博物館の展示標本や解剖データを精査すると、筋肉の配置から骨格の応力分散に至るまで、それぞれのアクションに最適化された驚くべき機能美が見て取れる。