爬虫類の多くは鳴きませんが、ヤモリは夜間に「チッチッチッ」「ケケケ」と明確な鳴き声を上げる数少ない爬虫類です。この鳴き声は、繁殖期における異性への求愛行動や、縄張りを主張して他のオスを威嚇するために発せられます。静まり返った夜の寝室で壁から小さな電子音のような音が聞こえた場合、ニホンヤモリが鳴いている可能性が高いといえます。
また、外敵に襲われた際に自らの意思で尻尾を切り離す「自切(じせつ)」の仕組みも特徴的です。トカゲやヤモリの尾の骨にはあらかじめ切れやすい「自切面」という軟骨組織が存在し、筋肉の急激な収縮によって出血を最小限に抑えながら切り離します。
切り離された尻尾は自律神経の働きにより数分間にわたって激しく跳ね回り、天敵(鳥や猫など)の気を引く囮となります。その間に本体は脱出を図ります。なお、再生した尾には骨の代わりに軟骨が通り、元の尾よりも色がくすんで短くなることが一般的です。
【幼体と成体の判別】ニホントカゲが魅せる劇的な体色変化
庭先で「尻尾がメタリックブルーに輝く美しい生き物」を見かけた場合、それはニホントカゲの幼体です。幼体の時期は天敵の視線を胴体から切り離しやすい尻尾へ集中させるため、黒地に金色の縦縞、そして鮮烈な青い尻尾という派手な保護色をまとっています。成体になるとこの青さは消失し、全体的に褐色〜茶褐色の落ち着いた体色へと変化します。一方、ヤモリは幼体から成体まで一貫して周囲の明るさに応じた灰褐色〜暗褐色の保護色を保ちます。