保育関連の掲示板やSNS、当編集部が実施した現役保育士への取材記録からは、マニュアル通りにはいかない生々しい失敗談と現場の知恵が浮かび上がってきます。
都内の認可保育所で1歳児クラスを担当する中堅保育士は、自らの苦い経験を次のように証言しています。
「新人の頃、9月のお月見製作で『全員の足形をとって綺麗なうさぎを作ろう』と意気込みました。しかし、1人が絵の具の冷たさに驚いて泣き出すとクラス全体に恐怖が伝染し、半数の子どもが手を固く握りしめてスタンプ台に触れることすら拒絶しました。結局、無理やり手を開かせて形だけ取ったものの、子どもたちには恐怖感しか残らず、連絡帳に『嫌がる娘の姿が浮かんで胸が痛みました』と保護者から書かれて猛省しました」
また、現場の口コミ調査で頻出するのが「誤飲の危機」と「シール剥がしの癇癪(かんしゃく)」です。 「ぶどう製作でペットボトルのキャップを使ったら、目を離した一瞬で口に含もうとして肝を冷やした」というヒヤリハット事例や、「市販のシール台紙から剥がすことができず、爪を立てて紙を破り、悔しさで大泣きして製作が中断した」という声は後を絶ちません。保育士の間で評判が高い実践は、「子どもの手指の現在地に合わせて、大人が道具側をミリ単位でチューニングしている」という共通点を持っています。