SNSやQ&Aサイト、睡眠外来の初診カウンセリングにおいて、患者や一般ユーザーから頻繁に寄せられるのが次のような切実な告白です。
「眠くなったら寝ようとリビングで待機していたら、気がつけば深夜3時を過ぎていた」「スマホで動画を見ていたら一向に眠気が来ず、翌朝の仕事で地獄を見た」――。
現代の生活環境には、「自然な眠気の訪れを阻害するトラップ」が無数に存在します。スマートフォンやPCから発せられる強いブルーライトは、脳の視交叉上核を刺激してメラトニンの分泌を最大数時間抑制します。さらに、SNSのタイムライン閲覧や短尺動画の連続視聴は、脳内でドーパミンを過剰放出し、興奮性の覚醒状態(ハイパーアラウザル)を作り出します。
つまり、デジタル機器に囲まれた環境下で「眠気が来ない」と訴える人の多くは、生体的に眠くないのではなく、人工的な刺激によって眠気のサインを自ら打ち消しているのが実態です。眠気を待つ時間は、照明を暖色系の間接照明(50ルクス以下)に落とし、紙の書籍を読むか静かな音楽を聴くなど、副交感神経を刺激する静穏な環境を整えることが絶対条件となります。