事件直後の捜査は、目撃証言の錯綜と現地特有の人間関係から一時的な混乱を見せました。当初、地元警察は生存者の証言スケッチや不審車両の情報に基づき、現場付近で目撃されていた別の男を拘束。その捜査線上で浮上した名前が、メディアを騒がせたファティ・サビル(Fatih S.)等の人物でした。しかし、採取されたDNAサンプルの不一致やアリバイの確認により、誤認拘束であったことが判明し、即座に釈放される事態となりました。
その後、警察当局は現場に残された微物や遺留品の鑑定を徹底。事件翌日の9月10日深夜、現場周辺に土地鑑を持つ当時20歳の無職、ファティ・アクトゥルク(Fatih Aktürk)を拘束しました。男の自宅からは被害者の私物であるデジタルカメラや血痕の付着した衣服が発見され、取り調べに対して「自分がやりました」と犯行を自供。DNA鑑定結果も現場遺留物と完全に一致し、事件は急転直下の解決を迎えました。
供述調書で明らかになった犯行の動機は、余りにも卑劣で身勝手なものでした。男は「自転車と接触しそうになり口論になった」などと自己弁護の虚偽を並べ立てたものの、司法精神鑑定や物証の検証により、薬物や酒の影響下にありつつ、孤立した女性観光客を狙った「強盗および性的暴行未遂」が主目的であったことが法廷で立証されました。白昼の静かな観光地を狙い、反抗できない状況下で凶器を用いた冷酷な犯行手口が白日の下に晒されたのです。