なぜ世界最大手のNetflixから仮面ライダーが姿を消したのでしょうか。その背景には、東映が推進する「IP(知的財産)の自社経済圏への囲い込み」と「国内配信プラットフォームの棲み分け」という高度なビジネスモデルの転換があります。
かつて2010年代後半、動画配信黎明期において東映はコンテンツの露出拡大と新規ファン獲得を目的に、NetflixやHuluといった外部メガプラットフォームへ広く作品をライセンス提供していました。しかし、IPホルダーとしてのブランド価値が確立された現在、東映は独自のファンコミュニティアプリ「東映特撮ファンクラブ(TTFC)」の育成へと舵を切っています。
仮面ライダーのような熱狂的なコアファンを持つ長寿シリーズは、汎用的なグローバルプラットフォームに低単価で卸すよりも、自社直営のプラットフォームに集約させた方が、オリジナルスピンオフの制作、グッズ物販、イベントチケット先行予約などを含めたLTV(顧客生涯価値)を最大化できます。
さらに、外部プラットフォームへ供給する場合でも、特撮・アニメジャンルへの投資に積極的な「DMM TV」や、テレビ朝日系列との資本関係が深い「TELASA(テラサ)」、圧倒的会員数を誇る「Amazon Prime Video」など、明確な戦略的メリットがあるパートナーへ優先的にライセンスを許諾する体制が完成したのです。