インターネットの検索窓にブランド名を入れると表示されるネガティブなキーワード。なぜこのような評判が生まれてしまうのか、実態を調査すると2つの大きな要因が浮かび上がってきます。
第1の要因は、1970年代後半に巻き起こった「ハマトラ(横浜トラディショナル)ブーム」の記憶です。当時、フクゾーの服にミハマの靴、そしてキタムラのバッグを合わせるスタイルが一世を風靡しました。このブームをリアルタイムで経験した世代にとって、象徴的な「K」のエンボスロゴやコントラストステッチは、あまりにも強烈な時代性を帯びています。その結果、トレンドを過度に意識する一部の層から「昔流行った懐かしいブランド」「今の時代に持つと古臭いのではないか」という穿った見方をされる現象が起きていました。
第2の要因は、親しみやすさを狙った一部のカジュアルなモチーフ商品(犬や小鳥、フルーツなどをかたどったポーチやサブバッグ)が、大人のシックなコーディネートとミスマッチを起こした事例です。可愛らしさを前面に出した小物をフォーマルな外出着に合わせてしまうと、アンバランスな印象を与え、それが「若作りで痛い」という極端な口コミに変換されて拡散された背景があります。
しかし、これらはキタムラが展開する膨大なラインナップのごく一部を切り取った偏見に過ぎません。現在のキタムラは、ロゴを控えめにあしらった上質な無地レザーや、無駄を削ぎ落としたミニマルなフォルムへシフトしており、キタムラバッグダサい噂の真相を追跡すると、大半が実物を手に取っていない層による先入観であることが分かります。実際に街頭や店頭でリサーチを行うと、落ち着いたトーンのキタムラ製品は、60代女性の上品な装いに極めて自然に溶け込んでいます。