インターネット上の相談掲示板やSNSでは、「予算さえあればテレビで話題の著名人を呼べば講演会は大成功する」という短絡的な言説が散見されます。しかし、イベント制作や企業広報の現場取材を重ねると、この認識こそが最大の地雷であることが浮き彫りになります。
ある大手製造業の労働組合が、150万円の謝礼を支払って元トップアスリートを招いた事例があります。当日はサイン色紙の抽選などで一時的に会場が沸いたものの、後日のアンケートでは「話は武勇伝ばかりで、自分たちの日常業務の改善には何の役にも立たなかった」「予算の無駄遣いではないか」という辛辣な意見が過半数を占めました。
テレビタレントや著名人は「集客力」こそ抜群ですが、自社の抱える固有の経営課題や組織のペインに対して的確な解を出してくれるとは限りません。むしろ、業界内で深く知られるコンサルタントや、泥臭い企業再建を成し遂げた知る人ぞ知る元経営者の講話のほうが、聴衆の心に深く刺さり、その後の行動を劇的に変えるケースが多々あります。「有名人を呼ぶこと」それ自体が目的化した企画は、主催者の自己満足で終わる典型例と言わざるを得ません。