医療過誤とは?医療事故との違いと損害賠償・カルテ開示を徹底解説の疑問点について、分かりやすい解説を取りまとめてご紹介します。
日常会話では混同されがちな「医療事故」と「医療過誤」ですが、法的な位置づけは根本から異なります。医療事故とは、医療の全過程において発生した人身事故の総称です。これには患者の不可抗力による急変や、予測不可能なアレルギー反応、院内での転倒・転落など、医師側に落ち度がない事象も幅広く含まれます。
対して医療過誤とは、医療事故のうち「医療従事者が払うべき業務上の注意義務を怠り、過失によって患者に損害を与えた事案」に限定されます。法的な損害賠償責任や刑事責任が生じるのは、この医療過誤に該当する場合のみです。
裁判実務において過失(注意義務違反)が認められるか否かは、「事故当時の臨床医学の実践における医療水準」を基準に判断されます。最高裁判所の確立した判例によれば、最新の研究段階にある知見ではなく、平均的な医師・医療機関が備えるべき知識や技術、診療ガイドラインに準拠していたかが厳格に問われます。
項目医療事故(広義)医療過誤(狭義・法的責任あり)編集部の見解・実務上の注意点法的定義・過失の有無過失の有無を問わず、医療現場で生じたあらゆる有害事象全般。医療従事者の過失(注意義務違反)によって実害が生じた事象。病院側が「医療事故」と説明しても、調査によって「医療過誤」へ変化する事例が多い。主な具体例適切な処置後の予期せぬアナフィラキシー、院内歩行中の転倒。薬剤の投与量誤認、異物(ガーゼ等)の体内遺残、誤診による治療遅延。ガイドラインや添付文書の警告を無視した処置は過失認定の有力な根拠になる。法的請求の可否過失がない不可抗力の場合は、法的賠償請求は認められない。民法上の損害賠償請求(不法行為・債務不履行)が可能。過失だけでなく「注意義務違反と被害結果との因果関係」の立証が最大の障壁となる。立証の難易度・勝訴率対象外通常の民事訴訟(認容率約70%〜80%)に比べ、認容率は約20%〜30%と極めて難関。医療記録の確保と協力医(鑑定医)による医学的意見書の獲得が不可欠。