ネット上の情報では「100均のワイヤーラックはステンレス製だから錆びない」という記述を時折見かけますが、これは明確な誤解です。100円から300円で流通している金属製ラックの9割以上は、「普通鋼(スチール)の表面にポリエチレン被膜やエポキシ粉体塗装を施したもの」です。
スチールに塗装を施した製品の最大の弱点は、食器の糸底(高台)のザラつきや、包丁などの鋭利な刃物が接触することで生じる微小な塗装の傷です。皮膜に目に見えないクラックが入ると、そこから毛細管現象で水分が内部の鋼材へと浸透し、内部から赤サビが急速に進行します。「外見は何ともないのに、ある日突然接合部から茶色いサビ水が染み出てきた」という現象が起きるのはこのためです。
また、プラスチック(ポリプロピレン)製の一体型バスケットに関しても、盲点が存在します。軽量でサビない反面、表面の硬度が低いためスポンジで擦るうちに微細な研磨傷が無数につき、そこに雑菌や皮脂汚れが入り込んでバイオフィルム(ピンクヌメリの温床)を形成します。漂白剤につけ置きしても数日でヌメリが再発するようになった段階が、製品の物理的な寿命です。耐久性の真実は、「壊れるまで半永久的に使う道具」ではなく、「1年サイクルで衛生的にリフレッシュする消耗材」として認識することにあります。