「ムネオハウス」という名称は、北方領土の国後島古釜布(ユジノクリリスク)に1999年に建設されたプレハブ2階建て施設「国後島緊急避難所兼宿泊施設」の通称です。現地では「日本人とロシア人の友好の家」と掲示されていましたが、2002年2月の衆議院予算委員会において共産党の佐々木憲昭議員(当時)が、建設工事の入札過程で鈴木宗男氏の意向が露骨に反映されていた実態を告発したことで、一気に火がつきました。
事件の発端は、外務省内部から流出した「国後島緊急避難所入札結果」と題された内部メモでした。文書には、入札に参加できる企業条件として「鈴木宗男氏の地元である北海道根室管内に本社または支店を有すること」などが明記されており、結果として鈴木氏の後援企業を含む共同企業体(JV)が4億1,475万円(予定価格に対する落札率99.8%)という極めて不自然な高レートで落札していた事実が白日の下に晒されたのです。
当時、鈴木宗男氏は自民党総務局長や内閣官房副長官などを歴任し、外務省ロシアスクール(対露交渉専門の官僚グループ)に対して絶大な影響力を行使していました。作家の佐藤優氏(当時・外務省主任分析官)や東郷和彦氏(当時・欧亜局長)らと結託し、北方四島支援事業の差配を通じて自らの政治的求心力を誇示するシステムが構築されていたと、外務省が後に公表した「いわゆる『鈴木宗男氏関連疑惑』に関する調査報告書」でも厳しく指摘されています。