2022年11月1日、プロジェクト公式から発表された優木せつ菜役・楠木ともりの降板告知は、多くのファンに強い衝撃を与えました。活動終了日は2023年3月31日。人気絶頂のスクールアイドルプロジェクトにおいて、メインキャストが途中で交代することは極めて異例の事態だったからです。
この交代劇の背景にあったのは、一部ネット上で囁かれたようなスケジュール都合や方向性の不一致ではありません。楠木ともり自身が抱えていた持病である「エーラース・ダンロス症候群(関節型)」の確定診断が最大の理由でした。関節の可動域が広く脱臼や痛みを引き起こしやすいこの疾患により、医師からは激しい運動を伴うダンスパフォーマンスの制限が宣告されていました。
楠木ともりは2021年頃からライブ中の運動量をセーブするなど工夫を重ねていましたが、ステージ上を縦横無尽に駆け回り、ヘッドバンギングや激しいステップをトレードマークとする優木せつ菜の表現をこれ以上続けることは、身体への不可逆なリスクを伴う状態に達していたのです。キャラクターが持つ100%のパフォーマンスをファンに届けたいという本人のプロ意識と、何よりも演者の将来と健康を最優先した運営側の協議によって、断腸の思いで下された決断でした。
そして2023年3月25日に開催されたイベントにて、後任として林鼓子の起用が電撃発表されました。『Wake Up, Girls!』の妹分ユニットや『キラッとプリ☆チャン』の主演などで卓越した実績を持つ実力派声優へのバトンタッチは、楠木ともり本人が綴った「せつ菜をよろしくお願いします」という温かいメッセージとともに、静かに、しかし力強く託されたのです。