園芸店や街角で見かける名札には「カイドウ」とだけ書かれていることが多いため、別の植物なのか同種なのか混乱しがちです。この混同が生まれる背景には、植物学上の正式名称と日常的な呼び名のズレがあります。
分類上、どちらもバラ科リンゴ属に属する落葉小高木ですが、日本で広く親しまれているピンク色の観賞樹は、正確にはハナカイドウ(学名:Malus halliana)です。細長い花柄の先に可憐な花を吊り下げる姿から、別名で「スイシカイドウ(垂糸海棠)」とも呼ばれます。
一方で、古くから本来の「カイドウ」として扱われてきたのは、中国原産のミカイドウ(実海棠/学名:Malus micromalus)です。日本には室町時代から江戸時代初期にかけて渡来しましたが、後に江戸時代中期に花がより華やかなハナカイドウが導入されると、観賞用としての人気がハナカイドウに集中しました。その結果、いつしかハナカイドウのほうが単に「カイドウ」と略称されるようになったという歴史的経緯があります。