事件現場の最前線に立つ警視庁刑事部鑑識課の捜査員たちは、こうした遺体の異変を決して感情的には見つめない。レンズ越しに捉える傷口の形状、皮膚のなめし状態、ハエの幼虫の発生段階。すべてが言葉なき証言だ。
遺体が執刀台に運ばれ、司法解剖が始まると、法医解剖医の手によって外表からは見えない「真実」が暴かれる。臓器の重量変化、血液の暗赤色流動性、胃内容物の消化度合い。一見すると目を背けたくなるような画像データの一枚一枚が、被害者が最後に残した「SOS」を解読するための不可欠なジグソーパズルのピースとなる。