鮎屋の滝は、訪れる季節によって劇的にその表情を変えます。年間を通じて豊かな水量を保っていますが、特に足を運ぶ価値の高い2大ハイライトが存在します。
第1のハイライトは、初夏を告げる「ホタルの飛翔時期」です。例年、5月下旬から6月中旬にかけて、鮎屋川の清澄な水辺を舞台に無数のゲンジボタルが乱舞します。周囲に人工の街灯や商業施設の明かりが一切ないため、漆黒の森の中に淡い光跡が幾重にも交錯する幻想的な光景が広がります。夜間に観賞へ訪れる際は、滝壺周辺の足元が極めて暗くなるため、小型のLEDライトを持参し、ホタルを直接照らさないよう配慮しながら鑑賞するのがマナーです。
第2のハイライトは、晩秋を彩る「紅葉のピーク時期」です。見頃は例年11月中旬から12月上旬。黒光りする岩壁と白い水煙を背景に、イロハモミジやヤマモミジが鮮烈な深紅や山吹色に染まり上がります。陽光が渓谷に差し込む午前11時から午後1時頃の時間帯は、水煙に光が反射して木々の色彩が一層鮮やかに際立ち、息を呑むような絶景をカメラに収めることができます。
また、盛夏期における「避暑スポット」としての価値も特筆に値します。真夏の淡路島沿岸部が30度を超える猛暑日であっても、深い谷底に位置する鮎屋の滝周辺は気温が2〜3度低く、絶え間なく生み出される冷風とミストによって体感温度は極めて涼明です。都会の熱気から逃れ、涼を求める旅程としても申し分ありません。