サッカー界における実力指標として、長年デファクトスタンダードとされてきたのはFIFAランキングでした。しかし、ファンの間では「親善試合を意図的に避けてポイントを守る国がある」「対戦相手のレベルが考慮されにくく、大陸ごとの格差が歪む」といった不満が絶えませんでした。そのオルタナティブとして圧倒的な支持を獲得したのが、ウェブサイト「eloratings.net」などが集計・公開するWorld Football Elo Ratingsです。
Eloレーティング(イロレーティング)は、物理学者でありチェスプレイヤーでもあったアルパード・イロ博士が考案した対戦型ゲームのレーティングシステムです。2者が対戦した際、「事前に予測された勝率」と「実際の結果」の差分に応じてポイントをやり取りするゼロサム構造を基本としています。
サッカー版のEloレーティングは、この基本数理にフットボール特有の変数を組み込んでいます。具体的には、勝利マージン(得失点差)、試合の重要度(親善試合からW杯決勝まで)、そしてホームアドバンテージ(通常ホームチームに100ポイント前後の下駄を履かせる補正)です。これにより、「格下が強豪にアウェーで3点差をつけて勝つ」といった大番狂わせが起きた場合、大量のポイントが勝者に移動し、敗者は手痛いペナルティを背負うことになります。
データ解析企業の関係者や欧州主要クラブのスカウティング部門も、代表チームの真のコンディションや戦力値を測る基準としてEloレーティングを注視しています。「数字が嘘をつかない」と言われる所以は、過去100年以上の全国際試合データを同一のアルゴリズムで遡及計算し、常にリアルタイムで更新し続けている連続性にあります。