TBS系「日曜劇場」をはじめとする大作ドラマでは、放送期間を通じて視聴者が犯人や黒幕を推理する「考察合戦」が一大ムーブメントとなっています。ここでのキャスティングには、視聴者の裏をかく巧妙な心理戦が仕掛けられています。
近年顕著に見られる法則の一つが、「好感度の高い主演級俳優をあえて序盤は無害な協力者として配置する」という手法です。爽やかで誠実なイメージを持つキャストが終盤で冷徹な黒幕へと豹変する展開は、視聴者に強烈な衝撃を与え、SNS上での拡散力を爆発的に高めます。
また、味方陣営の重鎮に見えるベテラン俳優(小日向文世や段田安則など)が配置されている場合、視聴者の間では「最後まで味方なのか、それとも最後の最後で裏切る黒幕なのか」という疑心暗鬼が生まれ、ドラマ全体の推進力へと変わっていきます。視聴者の心理を逆手に取ったキャスティングの妙こそが、現代サスペンスの最大のスパイスです。