学術的な神秘性に包まれたアイスランドガイですが、実態として生息域の国々では一般的な水産資源として扱われています。英名では「Ocean Quahog(オーシャン・クアホッグ)」や「Black Clam(ブラック・クラム)」と呼ばれ、大規模な商業漁獲が行われてきました。
では、気になるその味や食感はどうなのでしょうか。北米や北欧の魚市場・加工工場の実情を取材したデータによると、以下のような評価が定着しています。
- 独特の強い磯の香りと鉄分感:一般的なアサリやハマグリに比べて風味が非常に濃厚で、やや金属的、あるいは野性味のある強い出汁が出ます。
- 筋肉質で非常に硬い歯ごたえ:冷たい深海で長い年月をかけて育つため、身の繊維が極めて強靭です。そのまま刺身や網焼きで食べるには固すぎるケースが大半を占めます。
- 加工食品としての高い適性:この硬さと濃厚な旨味を逆手に取り、北米では刻んでクラムチャウダーの具材やスープのベース、あるいはすり身加工品として缶詰などで大量消費されています。
日本国内の鮮魚店で見かける機会はほぼありませんが、輸入クラムチャウダー缶の原材料に「オーシャンクアホッグ」と記載されていれば、それはまさにアイスランドガイを口にしていることになります。食卓に並ぶスープの中の貝片が、もしかすると100年以上を生きていた個体かもしれないという事実は、現代の海洋資源利用の奥深さを物語っています。