保元・平治の乱は、のちに成立した中世文学の傑作『保元物語』『平治物語』を通じて、広く後世に語り継がれました。
『保元物語』は、崇徳上皇の悲劇と源為朝の超人的な弓の武勇、そして保元の乱後の残酷な処刑劇を描き出します。一方の『平治物語』は、信西の悲壮な最期、清盛の知略、義朝の無念の敗走、そして少年・源頼朝の配流を描き、やがて来る源平合戦(治承・寿永の乱)へのプロローグとして構成されています。
これらの物語が描き出すのは、単なる勝敗の記録ではありません。名誉を重んじ、主従の絆に生き、運命に翻弄された武士たちの生々しい息遣いです。この2つの乱を経て、宮廷貴族は「武士の軍事力なしには政権を維持できない」という決定的な弱点を晒しました。武士が歴史の脇役から主役へと躍り出る構造的変化をもたらした点こそが、保元・平治の乱の最大の歴史的意義です。