多くの視聴者が抱く最大の疑問は、清太と節子の死後、おばさんは自らの冷たい仕打ちを後悔したのかという点です。作中で描かれた彼女の態度を振り返ると、母を亡くして傷心の子どもたちに対して情け容赦のない言葉を浴びせ、結果として二人をあの防空壕へと追いやるきっかけを作りました。
結論から言えば、アニメ映画版・原作小説の双方を通じて、おばさんが二人の死を知って悔恨の涙を流したり、自責の念に苛まれたりする場面は描かれていません。映画終盤、清太たちが去った後の親戚の家には、疎開先から戻ってきた娘や若い女性たちが何事もなかったかのようにレコードで「Home, Sweet Home(埴生の宿)」を聴き、平和な日常を取り戻す姿が映し出されるのみです。
おばさんにとって、清太と節子は「再三の忠告を聞き入れず、勝手に家を出て行った我慢の足りない親戚の子ども」に過ぎませんでした。戦末期の混乱と情報遮断のなかで、二人が横穴の防空壕で衰弱死した事実すら、正確には把握していなかった可能性が高いと考察されています。