消防署の地図記号はなぜ「さすまた」?警察との違いや覚え方を解説

消防署の地図記号はなぜ「さすまた」?警察との違いや覚え方を解説

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消防署の地図記号がアルファベットの「Y」に見えることから、「レスキューのY」「ホースの分岐」といった俗説が語られることがある。しかし、国土地理院が公式に定義する消防署地図記号意味の正解は、江戸時代から使われていた消火道具「刺股(さすまた)」である。

刺股とは、長い柄の先端に二股に分かれた金具を取り付けた道具だ。現代人にとっては「暴漢や不審者の動きを壁に押し付けて封じる防犯器具」というイメージが強いが、日本の消防史においては長らく消火活動の主力装備として活躍していた。

なぜ水を放水する消防の現場で刺股が使われていたのか。その背景には、木造長屋が密集していた江戸時代の都市構造と「破壊消防」という独特の消火戦術がある。

当時の消火技術では、現代のような強力な動力ポンプや大量の水による消火(注水消火)は不可能だった。そのため、火災が発生すると町火消(まちびけし)たちは風下の家屋を素早く引き倒し、可燃物を物理的に除去することで火の通り道を遮断する「破壊消防」を主戦術としていた。このとき、燃え盛る建物の屋根や壁、柱を押し倒すために使われたのが刺股である。

明治期に入り近代的な消防制度が整備され、明治13年(1880年)に消防本部が設置された後も、刺股は消防の象徴的な道具として認識され続けた。その歴史的経緯を踏まえ、陸地測量部(現在の国土地理院)が地形図の記号を制定する際、消防署の地図記号の由来として刺股の二股のフォルムが採用された。

木村 陽翔
著者

木村 陽翔

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。