2008年3月、突如として発表された結婚のニュースは、日本中を駆け巡った。記者会見の席上、松井氏が報道陣に提示したのは、自らがペンを執って描いた新婦の似顔絵だった。お世辞にもプロ並みとは言えない、しかしどこか温かみのあるそのイラストは、過熱する報道陣の追及を一瞬で和ませる妙手となった。
素性を明かさない。顔写真も出さない。この「似顔絵会見」は、プライバシーを守りつつも、ファンへの報告義務をユーモアを交えて果たすという、極めて高度なメディアコントロールだった。メディア側も、その絶妙な引き際に引き下がるしかなかったのだ。