本作の核となったのは、間違いなく担任・柊一颯を演じた菅田将暉のすさまじい熱量です。末期がんを患いながら命を削って生徒たちと対峙する役作りのため、菅田は撮影期間中に約10kgの減量を敢行。頬がこけ、肋骨が浮き出るほどの肉体で教室に立ち続けました。
当時の密着特番や後年のインタビューで、菅田は「スタジオの教室セットは、息を吸うのも苦しいほど濃密な空間だった。生徒たち29人の生半可ではない視線を受け止めるには、自分自身が本当に命を差し出す覚悟が必要だった」と述懐しています。第5話や第10話で見せた長台詞の説教シーンでは、台本数十ページに及ぶ熱弁をノーカットに近い長回しで収録。震える喉と涙で充血した瞳から放たれた言葉は、演技を超えたドキュメンタリーの迫力を帯びていました。
一方、物語の視点人物となった永野芽郁も、極限状態の生徒心理を全身で体現。第1話で教室の窓から身を投げ出そうとするアクションシーンや、自責の念から過呼吸寸前に追い込まれる泣きの芝居は、視聴者の心を激しく揺さぶりました。「さくら」という少女が、臆病な傍観者から自分の意志で他者の尊厳を守る人間へと羽化していくプロセスを、当時19歳だった永野が見事に演じ切ったことで、ドラマのリアリズムが担保されたのです。