言葉の由来を探ると、日本古来の食文化と獲物の関係に行き着きます。語源となったのは、捕まえた魚や鳥獣をどう調理するかという場面です。獲物となった生き物から見れば、煮られようが焼かれようが最終的に食べられてしまう運命に変わりはありません。
江戸時代の文献や狂言などの古典作品では、「煮て食おうと焼いて食おうと」という表現が頻繁に登場します。獲物が捕獲者の前でなす術もなく転がされている様子が転じて、「相手の思い通りに処分されることの例え」として定着していきました。
時代が下るにつれて助詞や語感が整えられ、現在の「煮るなり焼くなり」というリズミカルな言い回しへと変化しました。食材という「抗えない対象」を自分自身に見立てることで、圧倒的な立場の差や抵抗不能な状態をドラマチックに描き出しています。