公的機関が公開する「活断層マップ」を確認し、「自分の住む街には赤い断層線がないから大丈夫だ」と安堵している住民は少なくありません。しかし、これこそが防災上の最大の盲点です。
2000年の鳥取県西部地震や2016年の鳥取県中部地震の震源となった断層は、事前の公的マップには主要活断層として記載されていませんでした。中国地方の山間部や堆積平野の地下には、地表に段差や亀裂が現れていない「伏在断層(ブラインド断層)」が無数に眠っています。数千年に一度しか動かない断層は、風化や浸食、土砂の堆積によって痕跡が消え去り、航空写真や地質調査でも見極めが極めて困難なのです。
現在運用されている高感度地震観測網(Hi-net)の震源分布図を精密に解析すると、既知の活断層とは異なるライン上に、微小地震が直線的に並ぶ「線状配列」が複数確認できます。地表に名前のついていない地下の断層面が、現在も確実にエネルギーを蓄えている事実を見落としてはなりません。