映画の冒頭、京都の美大に通う20歳の学生・南山高寿(福士蒼汰)は、通学電車の中で見かけた福寿愛美(小松菜奈)に一目惚れします。意を決して声をかけ、「また会える?」と問いかけた瞬間、愛美の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちます。初見の観客には「感受性が豊かな女性の嬉し泣き」のように映るこのシーンこそ、本作最大の切ない仕掛けであり、ぼくは明日昨日のきみとデートする 最初の涙 意味 真相を象徴する決定的瞬間です。
物語の中盤で明かされる通り、愛美が暮らす世界は高寿の世界とは「時間の流れる方向が逆」に進んでいます。つまり、高寿にとっての「出会いの日(1日目)」は、愛美にとって彼と過ごした愛おしい「記憶の最後の日(30日目)」でした。愛美は、明日になればもう自分を恋人として覚えていない高寿との永遠の別れを噛み締めながら、必死に微笑んで涙を流していたのです。
当時の舞台挨拶やインタビューにおいて、小松菜奈は「初日の撮影から結末を知った上で愛美の感情を抱え続けなければならず、高寿の無邪気な笑顔を見るたびに胸が締め付けられた」と語っています。高寿視点で描かれる前半から、愛美視点へと世界が反転する後半への展開は、観る者の感情を根底から揺さぶります。