ここ数年で、菊陽町の風景は一変した。台湾の半導体大手TSMCの工場建設に伴い、多くの台湾人技術者やその家族がこのエリアに移り住んでいる。その影響は、古き良き日本の温泉文化を守ってきたこの場所にも如実に現れている。
夕方以降になると、スマートフォンの翻訳アプリを片手に、日本の温泉マナーを学びながら入浴する外国人客の姿が日常茶飯事となった。タトゥーの取り扱いや、湯船に入る前の「かけ湯」の習慣など、異文化が交差する現場だからこその混乱も当初はあったが、施設側の丁寧な多言語対応と、常連客の温かい見守りによって、今では心地よい共生空間が生まれている。