流動化処理土の施工において、最も高度な知見が要求されるのが配合設計基準の策定です。コンクリートのように「硬ければ硬いほど良い」という単純な物性ではありません。都市インフラの埋設空間では、将来的な老朽管の入替や分岐工事に伴う「再掘削」が必ず発生するためです。
配合設計において最重要となる指標が一軸圧縮強さ(qu)です。一般社団法人日本流動化処理土工事業者協会などの技術指針では、再掘削を前提とする場合、材齢28日における基準強度を0.1〜0.3MN/m²(メガパスカル)程度にコントロールすることが推奨されています。バックホウのバケットで容易に崩せ、作業員がツルハシやスコップで手掘りできる限界の硬さです。
「配合設計の現場では、セメント添加量をほんのわずか増やしただけで、材齢長期において強度が1.0MN/m²を超えてしまう現象が頻発します」と、首都圏のインフラ工事を手掛ける主任技術者は打ち明けます。「特に発生土の粘土分や有機物含有量によって固化反応が大きく変動するため、事前の配合試験を軽視すると、数年後にコンクリート並みに硬化して再掘削費用が数倍に膨れ上がるトラブルに直面します」。
強度と同時に現場で厳格に管理されるのが比重・品質管理と流動性(スランプフロー値)です。一般にスランプフローは300mm〜400mm前後を目標とし、材料分離を起こさずサラサラと流れる状態を保ちます。現場納入時にはシリンダーによるフロー試験と空気量試験、比重測定が即座に実施され、ブリーディング率(上澄み水が分離する割合)が1%以下に収まっているかを厳密に確認する体制が敷かれています。