客員教授の講義を実際に受講した学生や、同じ学内に籍を置く専任教員は、このポストをどのように受け止めているのでしょうか。ネット掲示板やSNS、講義アンケートに寄せられる現場のリアルな声を集約すると、評価は真っ二つに分かれます。
肯定的な意見としては、社会の第一線で活躍する人物から受ける圧倒的な熱量への評価が目立ちます。
「普段テレビで見ている著名人が目の前で自身の挫折経験や業界の裏事情を語ってくれて、教科書を読んでいるより何倍も将来のキャリアを真剣に考えるきっかけになった」「起業家である客員教授の特別ゼミで、自分のビジネスプランに直接フィードバックをもらえた経験は大学生活最大の財産」といった、モチベーションの劇的な向上を語る受講生は数多く存在します。
一方で、手厳しい不満の声も根強く存在します。
「春学期のシラバスに名前があったのに、本人の仕事の都合で休講が相次ぎ、最終的に代行教員が穴埋めした」「講義というよりはタレント本に書いてあるような武勇伝を聞かされただけで、学術的な体系性は皆無だった」など、教育者としてのコミットメント不足を指摘する声です。
また、学内で地道に研究を続ける専任教授や若手研究者の間には、複雑な感情が渦巻いています。ある私立大学の准教授は匿名取材に対し、「自分たちが何年もかけて何本もの論文を書き、入試管理や雑務に追われながら耐えている傍らで、年に数回来るだけの有名人が『教授』の肩書を使い、テレビで知名度を上げている姿を見るのは、正直なところやるせない思いがある」と本音を漏らしています。華やかなブランディングの裏側には、学術現場のプライドと大学経営の現実との間で生じる静かな軋轢が横たわっています。