顔面を強打して眼窩底骨折が疑われる際、何科を受診すべきか迷う患者は非常に多く見受けられます。結論から言えば、まずは顔面の骨折治療と整容面(見た目の回復)を専門とする「形成外科」、または視力や眼球運動を精緻に評価できる「眼科」への受診が最適解です。総合病院であれば、両科が密に連携して治療プランを策定する体制が整っています。
受傷直後の初期対応において、絶対にやってはならない最大のNG行為が「鼻を強くかむこと」です。骨折によって眼窩と副鼻腔がつながっている状態下で鼻をかむと、鼻腔内の高圧な空気や細菌が一気に目の周囲へ噴き出します。これにより「眼窩気腫」が発生して眼圧が急上昇し、最悪の場合は視神経を圧迫して失明に至る危険や、副鼻腔由来の細菌による重篤な眼内感染症を招く引き金となります。鼻血が出た際はティッシュで軽く押さえる程度に留め、決して圧力をかけてはいけません。
医療機関における確定診断では、単純X線(レントゲン)だけでは微小な骨折を見落とす危険があるため、薄切スライス(0.5mm〜1mm幅)のマルチスライスCT検査が必須となります。骨折の範囲、軟部組織の嵌頓(はまり込み)の有無、眼下神経の走行状態を立体的に把握し、治療方針を決定していきます。