1960年代後半、破竹の勢いで舞台に立ち続けていた浜木綿子は、市川猿翁 (2代目) との結婚を経て香川を授かった。しかし結婚生活は長くは続かず、劇的な離婚劇とともに幼い息子を抱えて一人立ちすることを余儀なくされる。当時の芸能界において、シングルマザーとして第一線で働きながら子供を育てる苦労は並大抵のものではなかった。
母・浜木綿子は息子に「一流の教養を身につけさせたい」という一心で、厳格かつ温かい家庭環境を整えた。暁星学園から東京大学へと進学した香川の優秀さは、母の献身的な教育の賜物だった。しかし、父の面影を追う息子の情熱は消えず、やがて大学卒業と同時に役者の世界へ飛び込む決意を固めることとなった。