第二次世界大戦後の闇市(青線地帯)をルーツに持つ新宿ゴールデン街は、1958年の売春防止法施行以降、文壇バーや映画関係者が集うスナック街として独自の歴史を紡いできました。作家の野坂昭如氏や中上健次氏、映画監督の大島渚氏らが愛した「知の社交場」としての遺伝子は、昭和から平成、そして令和の時代へと色褪せることなく受け継がれています。
2026年現在のゴールデン街を象徴するのは、圧倒的な「多層性」です。古き良き昭和レトロを色濃く残す老舗文壇バーと、若い世代のオーナーによるクラフトジン・レコードバー、さらにはアートギャラリーを兼ねた新世代の店舗が同じ長屋の中で共存しています。新宿区の景観保全指針や防災改修が進んだことで、新宿歌舞伎町のディープスポットでありながら、かつての近寄りがたいアンダーグラウンド感は適度に払拭され、オープンで温かみのあるコミュニティが形成されています。
夜の街としての顔はもちろんのこと、近年は土日祝日を中心に14時〜15時頃から営業を開始する昼飲み需要も拡大しており、日中の明るい時間帯に神社参拝とセットで散策を楽しむ層も急増しています。