現役時代の功績を語る上で欠かせないのが、同時代を牽引した第69代横綱・白鵬翔との激闘の数々だ。圧倒的な強さを誇った大横綱に対し、正面から組み止めるか、洗練された技術で翻弄するか。二人の対戦は常に静かな緊張感に満ち、両国国技館の観客を息をのませた。
とりわけ横綱昇進を決めた時期の相撲や、千秋楽での直接対決で見せた気迫あふれる寄りは、いまなお語り継がれる名場面だ。横綱という重責に押し潰されることなく、自らの型を貫き通した姿勢。土俵上の凄みは、彼が技の冴えだけでなく、強靭な精神性を兼ね備えた真の武道家であったことを証明している。