SNS上の生の声やコミュニティの反応を分析すると、現代の視聴者が金曜ロードショーに求めているのは「映画そのものを鑑賞すること」にとどまらず、「同じ時間に何万人もの他者と同じ感動やツッコミを共有する体験」であることが分かります。
『バルス!』の合図に合わせてSNSが一斉に沸騰する現象に象徴されるように、テレビ放送は現代において「日本最大の同時接続オンラインイベント」の役割を果たしています。2023年の放送時にも、「久しぶりに家族全員でリビングに集まってコナンを観た」「一人暮らしの部屋で観ているけれど、SNSのタイムラインを追っているとみんなで映画館にいるような感覚になる」といった視聴者の手記やポストが数多く見受けられました。
スマートフォンの普及による個食化・個別消費が進む令和の社会環境において、世代を超えて共通の話題を提供できるメディア空間は極めて限られています。金曜ロードショーは、昭和から平成を経て令和に至る日本の家族文化・若者文化の結節点として、独自の心理的安全弁を提供しているといえます。