ネット上では「朝ドラ史上最悪の駄作」「見る価値がなかった」と極論化されがちな『ちむどんどん』ですが、冷静に振り返ることで見えてくる見落とされがちな功績も確実に存在します。
まず、沖縄の食文化に対する徹底したリサーチと映像美です。劇中に登場したソーキそば、ゴーヤーチャンプルー、ジューシー、ラフテーといった郷土料理の数々は、第一線の料理監修のもとで丁寧に再現され、多くの視聴者の食欲を刺激しました。全国の沖縄料理店やアンテナショップでは、放送期間中に客足や物販売上が目に見えて増加するなど、地域経済への波及効果は決して小さくありませんでした。
また、沖縄戦の記憶や、本土復帰前後におけるウチナーンチュ(沖縄の人々)が本土で直面した偏見や差別の歴史に、朝ドラという大衆的な枠組みで踏み込んだ点も正当に評価されるべきです。鶴見の沖縄タウンの成り立ちや、移住者たちが助け合ってコミュニティを築き上げてきた歴史的リアリティは、脚本が誠実に描こうとした重要なテーマの一つでした。物語全体のドタバタ劇の影に隠れてしまったものの、これらの描写は後続の沖縄関連番組にも確固たる足跡を残しています。