韓国語において父親を敬う表現として外せないのが「アボニム(아버님)」です。単語の末尾に尊敬の接尾辞「-ニム(님=〜様)」が付いており、「お父様」という最上位の敬意を含んでいます。
この「アボニム」が最も多用されるのは、結婚相手の父親(義父)に対して呼びかける場面です。
- 女性から見た夫の父:直接呼びかけるときは「アボニム(아버님)」、第三者に話すときは「シアボジ(시아버지)」または「シアボニム(시아버님)」
- 男性から見た妻の父:直接呼びかけるときは「アボニム(아버님)」または「チャンインオオルン(장인어른)」
儒教の伝統が根強く残る韓国社会では、家族間であっても上下関係や礼儀が非常に重んじられます。たとえ気さくな義父であっても、義理の娘や息子が「アッパ」と呼ぶことは礼儀を欠いた行為とみなされるのが通常です。初対面や結婚初期はもちろん、関係が深まった後も「アボニム」と呼ぶのが社会通念上の正しいマナーとされています。
なお、実の父親に対して「アボニム」と呼ぶケースは、かつての両班(貴族階級)家庭や伝統的な厳格な家系、あるいは手紙や公的な祝辞などの極めて儀礼的な場面に限られます。現代の一般的な家庭で自分の実父を「アボニム」と呼ぶと、かえって距離感があり不自然に受け取られることがあります。