京都中心部と鞍馬を結ぶ大動脈である叡山電鉄株式会社の取り組みも、霊山の魅力再発見に大きく寄与している。展望列車「きらら」の大きな窓から望む四季折々のパノラマや、新緑と紅葉のトンネルを抜ける移動空間そのものが、参拝への期待感を高める演出装置として機能している。
寺社観光・歴史ツーリズム産業が急速にデジタルシフトを進めるなか、鞍馬エリアでは単なる名所旧跡の消費にとどまらない、地域の歴史資源と自然保護を両立させた持続可能な観光モデルの模索が続く。スマートフォンの画面越しではなく、自らの足で歩き、木々のざわめきを聞く体験の価値が、過度なデジタル化の反動として再評価されているのだ。