実際の現場ではどのようなやり取りが繰り広げられているのか。都内の大手私鉄ターミナル駅で15年以上乗務を続ける現役ドライバーは、取材に対して次のように現場の本音を語っています。
「お客様から『なぜ駅前タクシー乗り場に来ないんだ』『雨の日に乗り場を空っぽにしておくのは怠慢だ』と叱責されることがあります。しかし、こちらとしてもわざわざ空車で駅のプールに潜り込み、1時間近く並んだ末に初乗り運賃の距離で下車されるリスクを背負うより、走行中に画面へ飛び込んでくるGOタクシー配車アプリの通知を取る方が、圧倒的に効率が良く営業成績も安定します。乗り場に並ぶ車が減っているのは、ドライバー個人のサボりではなく、現在の配車アルゴリズムがそうさせているのです」
ネット上の掲示板や知恵袋、SNSのコミュニティでも、利用者の切実な声が溢れています。
- 「雨の夜、駅前のタクシー乗り場に30人並んでいる目の前を、空車の行灯をつけたタクシーがロータリーに入らず直進していく。見捨てられたような気分になったが、後からあれはアプリ迎車の車だと知った」
- 「深夜タクシー乗り場混雑に巻き込まれ、終電後に1時間以上待たされた。冷え切った体で結局乗れたのは午前2時過ぎ。数百円をケチらずに最初からスマホで呼ぶべきだったと激しく後悔した」
- 「大きなスーツケースを持って子ども連れで空港タクシー乗り場に並んだが、列が全く動かない。隣のアプリ予約専用レーンから次々と家族連れが出発していくのを見て、情報格差を痛感した」
現場観察を重ねると、駅前の待機列に並び続ける人々の多くは、高齢者やスマートフォンの操作に不慣れな層、あるいは「乗り場に行けば必ず車がいる」という過去の常識にとらわれている利用者が目立ちます。結果として、情報を持つ層がアプリで確実に車を捉えて立ち去り、持たない層が凍てつく乗り場に何十分も取り残されるという、都市交通における二極化が現実のものとなっています。