日本における食事指導の歴史をひもとくと、世界で初めて栄養研究所を設立した佐伯矩(さいき ただす)博士の存在に行き着く。博士は「栄養はただ摂るだけでなく、消化・吸収されて初めて意味をなす」と説き、科学的根拠に基づく調理法の重要性を大正時代から提唱していた。日本の現代栄養学の基礎を築いたその先見の明は、一世紀を経た現代でも色褪せない。
現在、国民の健康づくりを推進する政策「健康日本21」では、1日あたり350g以上の野菜摂取が目標値として設定されている。国民健康・栄養調査を実施する厚生労働省や、国産農産物の消費拡大を推進する農林水産省も、緑黄色野菜の積極的な摂取を強く呼びかけている。人参はその代表格であり、わずか半本を加熱して油とともに食べるだけで、1日に必要なビタミンA前駆体を効率よく補給できる計算だ。